表面利回りと実質利回りの違いは?

投資用物件を探していると、表面利回りや満室想定利回り20%などといった表現で掲載されている物件を見かけます。20%という数字を見ると、一見高利回りで稼働しそうですがこの利回りを鵜呑みにして購入を決断するのは早いかもしれません。なぜなら、表面利回りとは、単純に年間家賃収入を物件購入価格で割っただけの数字だからです。

では、どんな利回りを見ればいいのでしょうか?

今回は物件を検討する上で欠かせない実質利回りと表面利回りの違いについて解説していきます。

この記事を読むことで、実際の収益に近い利回りを計算できるのでご一読ください。

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表面利回りと実質利回りの違い

表面利回りとは

表面利回り=年間収入÷物件価格×100

表面利回りとは、単純に年間家賃収入を物件購入価格で割ったものです。

購入時にかかる諸費用や修繕費などのランニングコストは含まれていません。そのため、表面利回りでは20%以上あっても、実質利回りで見ると5%しかない、ということも少なくありません。

実際に投資を行う上では、“購入時にかかる費用”や“ランニングコスト”など多くの経費が必要になるので、これらの費用も考慮して本当の利回りに近い実質利回りで計算する必要があります。

実質利回りとは

実質利回り=(年間収入-ランニングコスト)÷(物件価格+購入時諸経費)×100

実質利回りとは、管理費や固定資産税、火災保険料や修繕費も含めた数字です。
(厳密に言えば、将来の修繕や、売却額、税金も含めた利回りですが、ここまでの数字を出すのは不確定要素が非常に大きく現実的ではないので割愛します。)

表面利回りではなく、実質利回りで見る必要がある

上記で説明したように、表面利回りではなく、本当の収益に近い実質利回りで収益を計算することが大切です。

その理由を実際に見てみましょう。

私が60万円で購入した物件に6万円で入居者様がつきました。

計算式に当てはめると、

6×12÷60=120%

なんと表面利回りは120%です!

…しかし、それまでに売買時の購入時諸費用だけでなく、賃貸募集のための広告料で40万円、更には大規模なリフォームで150万円ほどかかっています。加えてランニングコストで年間の固定資産税、火災保険で10万円ほど必要なので、実質利回りは下がります。

計算式に当てはめると下記のようになります。

(72-10)÷(60+190)×100=24.8%

これらを含めた実質利回りは25%程度まで落ち込んでしまいます。

また、入居中に突発的な修繕が発生すれば多額の出費が必要になってくるので、さらに利回りが低下することになります。そのため、最初にきちんと修繕しておき運用中もリスクが発生しないようにしていくことが大切です。

私の所有物件の実質利回りはコチラ↓

なんで実利で表記しないの?

「最初から表面利回りを記載せずに実質利回りを表記してくれたらいいのに…」と思いませんか?

しかし実質利回りの表記は難しいのが現状です。なぜなら個々の大家さんの状況で変化する要素が大きいからです。そのため、実質利回りは自分で計算する必要があります。

さまざまな不確定要素

✔️ 空室による損失がどれくらいになるかわからない
✔️ 修繕費まで計算するのは難しい要因
   ・人件費や物価の値上がり
   ・依頼する業者様によって単価が異なる
   ・修繕サイクルの見極め
✔️ 毎年、固定資産税・都市計画税も変わる
✔️ 火災保険のプランにより火災保険料が異なる

経費一覧

購入時コスト

・不動産仲介手数料
・司法書士手数料
・不動産登記費用
・金融機関への融資手数料
・不動産取得税
・収入印紙代
・その他振込手数料等
・修繕費用

ランニングコスト

・固定資産税・都市計画税
・火災・地震保険
・管理料
・修繕積立金
・修繕費用
・水道光熱費
・浄化槽管理料
・出張費用等
・リフォーム代
・ハウスクリーニング費用
・空室リスク

その他利回り

(満室時)想定利回り

サイトには想定利回りが物件情報として掲載されていることもあります。

これは“満室で1年間退去なく稼働した場合”の利回りです。

現状入居者様がいない全空物件であっても釣り上げた家賃のレントロールを掲載して、無理矢理利回りを高く見せて掲載しているものもあるので注意する必要があります。

その際は、周辺の家賃相場と合致しているかをしっかり確認することが必須です。

借入金返済利回り

実質利回りにローン返済も加えた利回りです。

自己資金投資利回り

自分の手出しの額に対して出た利益の割合。

ローンを組むことで自己資金投資利回りが高くなるので私は参考にしていません。

オーバーローンなら無限%の利回りとなってしまいます…

まとめ

今回は各種利回りについて解説しました。

収益性のある物件を見極めるためにも、実質利回りをご自身で算出することが欠かせません。

そのためにもさまざまな知識を身につけ、正確な利回りに近い実質利回りを計算できるようにしましょう。

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